東福寺霊雲院は、室町時代の第4代将軍足利義持に仕えていた東福寺80代住職の岐陽方秀が、1390年(明徳1年)に開きました。幕末期には西郷隆盛の密談場所として、日露戦争のころは捕虜の収容所として使われた歴史を持っています。その院内には、モダンアートと称される意匠を凝らした2つの石庭(枯山水)があります。ここでは、東福寺霊雲院庭園の枯山水についてご紹介します。
東福寺霊雲院庭園とは?
東福寺霊雲院庭園は枯山水となっていて、池などの水なしに石や砂で山水の豊かな光景を表現しています。九山八海の庭での見どころが、由緒ある「遺愛石」です。江戸時代の初めに、当時の霊雲院住職だった湘雪守沅が熊本出身で、親交のあった初代熊本藩主だった細川忠利と2代藩主の光尚父子から贈与されました。白波をイメージした砂の渦の中心に配されています。須弥山は仏教で世界の中心を表しますが、須弥台に石船が乗せられ、その上に据えられているのが遺愛石です。高さ90センチほどの青みがかった石で、寺宝として大切にされています。
臥雲の庭の見どころが、優美と言われる雲の表現です。茶色の鞍馬砂や白砂を使って砂紋を描き、渓谷から流れる川や、山の中腹に漂う雲をイメージしています。考え方の基にしているのは、「雲無心而出岫、水盈科而或流」という禅語。無心に過ぎ去る雲とゆうゆうと流れる水で、何ものにもこだわらずに生きる様を表しています。中流に段違いに配された三つの長石と、奥にそびえる滝をイメージした石にも注目です。鯉が滝をのぼって龍に化すという中国の故事に則っています。文様や配置などにアーティスティックな表現が見られる庭園です。
東福寺霊雲院庭園のまとめ
東福寺霊雲院は、2種類の趣向の違う枯山水を設けています。九山八海の庭は、8つずつの山脈と海が須弥山をとりまくという仏教世界がテーマです。また、臥雲の庭はお釈迦様の教えに基づく禅語にならっています。九山八海の庭で江戸時代の藩主である細川氏の贈り物を目にするのも、臥雲の庭から豊臣秀吉由来の雲上の茶室を眺めてみるのも一興。東福寺霊雲院庭園は、歴史とその時代に生きた人の心に触れられる場所です。
東福寺霊雲院庭園の住所・アクセス
庭園名 | 東福寺霊雲院庭園 |
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住所 | 〒605-0981 京都府京都市東山区本町15丁目801 |
アクセス | 京阪電車「東福寺」下車、徒歩約7分 市バス「東福寺」下車、徒歩約5分 |
電話番号 | 075-561-4080 |
開園時間 | 拝観時間:9:00~16:00 定休日:1月中旬~2月中旬までは不定休 |
入園料 | 拝観料 大人 500円 中学生 300円 ※12歳以下は拝観不可 |
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