水を一切使わずに自然風景を表現する枯山水において、「石」は重要な要素の一つです。
枯山水で使われる「石」の種類と、代表的な石組をご紹介します。
枯山水における「石」とは?
枯山水とは、水を一切使わずに大自然を表現する日本庭園の様式の1つです。
水を使わないかわりに、石や砂、苔を使います。
したがって、枯山水において「石」は重要な要素の1つで、欠かせないものです。
「石」は単独で使われることもありますが、複数の石を組み合わせることが多いです。
複数組み合わせて石を配置する手法を、石組といいます。
枯山水では一体どのような種類の石が使われるのでしょうか?
枯山水で使う石の種類
小さな石
小さな石は、川や池を表現することに使われることが多いです。
大きな石(岩のようなもの)
日本庭園における岩のような大きな石を、景石、庭石と呼びます。
石組とは?
石組とは、日本庭園における石の配置方法、置き方のことです。
自然の石を組み合わせて配置することで、自然風景を表現します。
枯山水において石組みは欠かせない要素の一つで、水を使わずに自然風景を表現する主役を担うことが多いです。
枯山水で使われる石組一覧
枯山水の日本庭園で使われる石組みについてご説明します。
石組みが何を表現しているか?どんな意味が込められているか?を知っておくと、枯山水めぐりがぐーんっと楽しくなります。
三尊石組
三尊石組とは、日本庭園の石組の基本パターンの1つで、仏教の三尊仏のように組む石組のことです。
中央に大きな中尊石、左右に脇侍石(きょうじせき)を据えて構成します。
枯山水庭園で頻繁に見かける石組です。
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七五三石組
七五三石組は、15個の石を七、五、三と配置させる石組です。
日本では昔から奇数は陰陽の陽を表す数で、生命の永遠性を示す数として大切にされてきました。
特に七五三はめでたい数として使われます。
龍安寺の石庭の15の石も、七五三の石組を表しているという見方があり、七五三の庭とも呼ばれます。
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鶴亀石組
鶴亀石組とは、鶴は千年、亀は万年の長寿を願う思想を表現する石組で、鶴石組、亀石組を合わせた配し方です。
鶴石組は、鶴の首を表現する鶴首石(かくしゅせき)と、羽を表現する羽石で構成され、鶴島とも呼ばれます。
亀石組は、亀頭石、亀甲石、亀足石、亀手石、亀尾石で構成され、鶴石組よりわかりやすく「亀」っぽく表現されます。
南禅寺金地院庭園の枯山水にある鶴亀石組が有名で、鶴亀の庭とも呼ばれます。
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京都市左京区の南禅寺金地院の枯山水庭園(鶴亀の庭)
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神仙蓬莱石組
神仙蓬莱石組とは、中国の道教、神仙蓬莱思想がルーツの石組みです。
神仙蓬莱思想とは、海の彼方には仙人が住む島(神仙島)があり、その島には不老不死が叶う仙薬があるという思想です。
秦の始皇帝(キングダムの時代)、漢の武帝の時代からある思想で、日本には飛鳥時代に伝わったとされています。
蓬莱島は理想郷なので断崖絶壁に守られているとして、巨大な壁のような石が配されます。
須弥山石組
仏教の世界には、三千大千世界という宇宙観があります。
そのなかで、中心に存在する山を須弥山といいます。
須弥山のてっぺんに、有頂天とよばれる神様の住む世界があります。
須弥山の周りには九山八海(くせんはっかい)が広がり、九つの山と八つの海が取り囲んでいます。
須弥山石組とは、そんな仏教の宇宙観を表現する石組で、須弥山を見立てた背の高い石を中心に、九山八海を表す石が組まれます。
陰陽石組
陰陽石組とは、子孫繁栄を表現するための石組で、男性を表現する立石の陽石と、女性を表現する臥石の陰石を組み合わせて配します。
跡継ぎが見つからず、家系が絶えるのを恐れた大名たちが、子孫繁栄の願いが込められています。
枯滝石組
枯滝石組とは、水を使わずに石を組むことで、水を落とす滝の風景を表現する石組です。
枯滝石組の中でも、中国の登竜門の故事を表現する龍門瀑と呼ばれる石組があります。
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枯山水の石組まとめ
枯山水の日本庭園で使われる石組みについてご紹介しました。
・枯山水で使われる代表的な石組みは三尊石組、七五三石組、鶴亀石組、神仙蓬莱石組、須弥山石組、陰陽石組、枯滝石組がある
石組みが何を表現しているか?どんな意味が込められているか?を知っておくと、枯山水めぐりがぐーんっと楽しくなることでしょう。